汚水のオーバーフローを測定するスマートソリューション
汚水 のオーバーフローは環境を汚染することから、非常に大きな問題です。下記の例でケラーオランダがDCX-22 AA データロガー i とケラー社のソフトウェア"Logger"を使っていかにこの問題を解決したか見ていきましょう。
汚水のオーバーフローは、下水道の処理能力を超える雨が降った場合に発生します。現場に管理施設がないと、短時間で下水道に溜まった大量の雨水によるすさまじい圧力で、マンホールの蓋が空中に押し上げられてしまいます。
この問題への対策として、下水道にはいくつかの壁が設置されています。壁の反対側は、川か運河につながっており、必要な場合に余分な水が壁を越えて自然水に流れ込む仕組みになっています。
もちろんこれは非常時の場合のみの手段です。そのため中央政府は地方政府に対し、オーバーフローの回数と自然水路に流れ込んだ水の量を登録するよう義務付けています。ケラーのソフトウェア"Logger"はオーバーフローの総量を計算する一方、DCX-22 AA は水位を測定します。 以下に手順を示します。

センサ部は沈殿層に届かない程度になるべく低い位置に設置し、通信部はマンホールのすぐ下に取り付けます。
ソフトウェア"Logger"で3段階のロギング設定をします。
トリガー 1は高速ロギングを起動させ、
Trigger 2 は通常のロギングスピードに戻し、
Trigger 3 は流量とフロートオーバーフローの量を計算します。
図で分かりやすく説明します。

The Event Sequence
- 大雨により下水道が満水になる
- 下水道の処理能力を超える
- 汚水 のオーバーフロータンクが満水になる
- 水位が" Tri gger ON" の位置を超えると、DCX-22 AA が起動し、毎分1回の計測を開始する
- 水が壁を越えて流れていくと、正式なオーバーフローとみなされる
- " Trigger OFF" の位置を下回ると、DCX-22 AA は1時間に1回の通常のロギングスピードに戻り、オーバーフローは終息したことを意味する
- ソフトウェアを使いDCX-22 AAのメモリを読み出す
- 以下の式で流量を求めます。
- 全ての水位測定から、calculation valueを引き算します。青字のWaterlevel above the wallだけが残ります。
- すべての青字のWaterlevel above the wallから平均水位を割り出し、Poleniの公式を用い流量(ボリューム/時間)に換算します。
- 平均の量にオーバーフローのトータル時間(終了日/時間-開始日/時間)と掛けると、汚水のオーバーフローの総量が求められます(time*volume/time=volume) 。
- 最後にこのオーバーフロー発生箇所のオフィシャルレポートを作成します。
流量の計算方法
- ソフトウェアを用いてDCX-22 AAのメモリを読み出します(data managerはGSM i -2 ファイルの読み込みに使います)。GSM-2の利点はデータを無線で飛ばせることです。つまりデータ取得のために現場に行く必要がないということです。
- 特注モジュールにより、流量とボリュームを下記のように導き出します。
- 全ての水位測定から、calculation valueを引き算します。青字のWaterlevel above the wallだけが残ります。
- すべての青字のWaterlevel above the wallから平均水位を割り出し、Poleniの公式を用い流量(ボリューム/時間)に換算します。Q = m x b x h 3/2
- 平均の量にオーバーフローのトータル時間(終了日/時間-開始日/時間)と掛けると、汚水のオーバーフローの総量が求められます(time*volume/time=volume) 。
- 最後にこのオーバーフロー発生箇所のオフィシャルレポートを作成します。

レポートの活用方法
ケラーのソフトウェアで作成したレポートで、オーバーフローの回数と“Waterschap“ i に流れ込んだ汚水の量を報告しています。“Waterschap“はオランダの水管理を担う州所有の施設です。オーバーフローの頻度があまりに多いと、政府が廃水バッファの建設を命じることができます。廃水バッファは大型コンクリート製円形タンクです。
廃水バッファタンクの建設
このバッファタンクで処理しきれない廃水は廃水処理場に送られます。
廃水処理場
廃水レベルのモニタリング
2007年以降、ケラーポーランドは廃水用途で、水位計46Xを5,000本以上納入した実績があります。そしてそのほとんどが、ポンプ場の新設または更新の際に使用されています。
46Xは廃水レベルのモニタリング のメインセンサとして機能し、フロートスイッチは二次制御機器として使います。46Xには様々な利点があります。金メッキされたセラミックダイヤフラムは耐薬品性が高く、ピエゾ抵抗型で使われるステンレスダイヤフラムよりも機械的な強度があります。さらにデジタル回路を内蔵しており、 MODBUS i 通信やスケーリング可能な4...20mA出力が得られます。廃水レベルのモニタリング のような極めて過酷な条件下でも安定した性能を保てることも、46Xの特筆に値する点です。
ポンプ場

グリースの蓄積によるポンプ故障に対する最適なソリューション
廃水のアプリケーションにおいて、ポンプを確実に動作させるために正確な測定が不可欠です。測定が正確でないと、結果として汚水の オーバーフロー i やポンプの損傷が引き起こされることになります。
機器の故障による測定エラー
米国バージニア州のNewport News に、同じ廃水ポンプ場につながっているレストランが複数あります。重油脂(グリース)が廃水に流れ込み、設置されていた水位測定器に詰まり、機器が故障するトラブルがありました。
職員たちによる試行錯誤
商業地区の開発に先立ち、Newport News 水道課とHampton Roads Sanitation Districtは機械式フロートと投げ込み式水位計を用いることにしました。レストランの営業が始まると、グリースが増加して機器に粘着し、結果としてどちらの機器もポンプ制御機器へ正確な水位データを送信できなくなってしまいました。
グリースが蓄積すると、水位計の圧力ポートが塞がり、液体が自由に流れず静水圧がダイヤフラムに伝わりませんでした。一方、フロースイッチは水位計故障時にポンプに
トリガーをかけるために設置されていましたが、グリースの蓄積がフロート玉の機械的動作を妨げてしまいました。水位計とバックアップシステムが動作不能となるとポンプ場はその役目を果たせず、ポンプが正確に動かなくなってしまいます。
摩耗や傷に強いKynar® ダイヤフラム
他社からも似たような製品もいくつか出ていますが、既存機種のマイナーチェンジに過ぎません。それらは大抵ゴムのダイヤフラムにテフロンコーティングを施したもので、頑丈とは言えません。保護ケージに入れて使われますが、ケージ自体に廃水からのゴミや油脂などが付着してしまい、読み取りエラーとなることがあります。
Newport News の職員がケラー社のユニークな廃水用水位計36XKY(ケラーアメリカではLevelRat)に目を付け、問い合わせました。
Kynar® i ダイヤフラムを用いた36XKYは、堅牢で既存品に比べ摩耗と傷に強い特長があり、保護ケージを必要としないのですっきりとしたデザインとなっています。
水処理プラント

36 XKY の登場により、グリースの蓄積や保護ケージの使用によるポンプ故障は過去のものとなりつつあります。
フロートスイッチに代わる連続式水位測定
フロート式からケラー社の圧力式水位計26Yに置き換えれば、廃水レベルを制御するための連続式測定システムを構築出来ます。
非効率的な廃水レベル測定システム
フロートスイッチによる廃水レベル測定システムを使用しているユーザーがいました。スイッチ1はタンクレベルが下限まで下がったときに満水にするように働き、スイッチ2はタンクが満水になった時点で水を止めます。スイッチ3はアラーム機能として動作します。
圧力式のメリット
その廃水レベル測定システムでは、複数のフロートスイッチの代わりに、ケラー社の水位計26Yシリーズを使うことに決めました。
廃水レベル測定のアプリケーションにおいて、フロートスイッチと比較したときの圧力式測定の利点は下記の点があります。
- 超音波センサのように、液位として泡を検知しないので、正確な水位データの提供が可能
- 内部に機械部品が一切ないので、堅牢
- 連続的な測定が可能
- レベルの表示が可能
排水 ポンプ場

システム例
